2006/10/10 (Tue) 【麻生】 また事件……

麻生です。

試合についてはもう……

それはそうと、試合後なんですが、
監督室でなにやら口論がわき上がりました。

私もキャプテンとして慌てて監督室に行ってみたら、
レイさんが声を荒げていました。


「私をレギュラーから外してください！」


レイさんは泣きじゃくってました。









「だから、別に僕は伊集院さんを責めてないよ」
「そうだよ。中央にレイさんがいるから、思い切りサイドに位置どれるんだよ？」
「前線からの守備だって頑張ってただろ？」

公二くん、それといつものように一緒にいた光ちゃんと望ちゃんが、
慰めようとしてました。

前にも同じような光景がありました。
そのときは確か、レイさんは思いとどまったはずですが、今回は違います。

「その言葉は嬉しいです。
　でも、このままではダメなんです！
　何かを変えなければ行けないんです！
　いつまで経っても点が取れないままでは誰も許してくれません……

　お願いです、私にこれまでの責任を取らせてください……
　
　私にもプライドがあります！責任があります！
　このまま、ＣＦでレギュラーでいるのが私には許せないんです！
　
　ＦＷは点を取るのが仕事ですよね？
　それができない私はＦＷ失格なんです……」

レイさんの悲痛な叫びでした。
本当にレイさんは誰よりもチームのことを考えてくれている。
自分の成績なんて気にせずチームの勝利だけを考えてくれている。

「これまでの８試合、
　いや、いままでの２０試合の責任は全部私が引き受けます……
　だからみんなを責めないでください……

　マスコミにもみんなをたたかせないでください。
　マスコミの前では私の名前を挙げて責めてください。
　そうすれば、批判は私だけ、みんなには届かない。
　
　お願いです……」

もう誰も何も言えなくなってしまいました。

「レイさん。本当にいいのかい？」
「かまいません。チームのためなら……」
「レイさん独りが傷つくよ？」
「覚悟してます。それだけの失態はさらしているのですから……」
「耐えられる？」
「チームが勝つためなら耐えられます……」

公二の顔が変わりました。
覚悟を決めたようです。

「わかった。今日をもって、レイさんのレギュラーを剥奪する。
　また、これからずっと先発はない。
　マスコミにも『ＣＦが下手で、ＦＷ失格だ』って言いまくって、
　矛先を全部レイさんに向ける。
　いいね？」

「ありがとうございます……」

もう私は何も言いません。
後ろからレイさんを抱きしめて、「絶対に勝つから！」って言うのが精いっぱいでした。

レイさんは自らカンフル剤になってくれました。
たぶん、明日発表される布陣はみんな驚くと思います。

レイさんの気持ちをみんなが受け取って欲しい。
私はそう思います。
【麻生　華澄】