2006/11/13 (Mon) 【清川】 そりゃ怒るよ

清川だ。

公二が荒れてるって？
そりゃ当然だよ。

これまでの代表における公二の立場を考えれば納得がいかないと思うよ。

中学の頃（あたしと公二がつきあってるころだね……）の公二の話なんだけどね……









正直言って、公二も代表候補に選ばれたのは予想外だったみたい。

ただ、直前の大会で大活躍していたのを当時の代表監督が目をつけたみたい。
「頑張ったのを見てくれた！」って大喜びしていたよ。

たしか、大会メンバーが２２人のところに……２７人ぐらいだったかな？

でも、公二の立場はあまりいい立場ではなかった。
実力的にはＭＦでは一番下。
どこの雑誌でも確実に落選すると言われていた。


それでも合宿直前に公二があたしに話してくれた。



「確かに最終メンバーに選ばれる可能性は低いと思う。

　でも、代表候補だよ？
　たくさんいる同じ世代のなかの２７人だよ？
　候補というのはとても栄誉なことなんだよ。
　そして代表というもっと栄誉のチャンスがある。

　こんなチャンスは滅多にない。
　２７分の２２。人数だけ考えれば小さいながらもチャンスは絶対にある。

　ここまで来たら、
　何が何でも最終メンバーに残ってやる。
　技術やパワーは劣っても気持ちだけは絶対に負けたくない」




それで合宿では公二はかなり頑張った。
かなり目立っていたらしく、「もしかしたら残るのでは？」という雑誌もいくつかあった。
当時の監督も「一番頑張っていたのは主人だ」とまで言っていた。



でも、公二は最終メンバーに残れなかった。
公二が合宿所から出る直前に監督から直々に言われたみたい。


「代表への気持ちが一番強かったのは間違いなく君だ。
　しかし、それだけではどうしても埋まらない技術の差があった。
　私としては君を連れて行きたかったのだが、
　代表はベストのメンバーだけが選ばれるべき場所だ。
　ましてや、今度の大会は真剣勝負。
　非常に残念だが、次の機会を待っているよ」


結局、公二は代表候補に選ばれることはなかった。
噂だと常にリストには入っていたみたいだけど、
公二は実際に招集される前にサッカーを捨てて、光との愛を選んでしまった。




だから、今回公二が怒るは当然だよ。

公二は、目の前の試合に全力で取り組んだ努力は絶対に報われると思ってるあずだよ。
だって自分がそうだったんだから。
だから、リーグ戦でどんなに頑張っても、代表に確定していない今の状況が許せないんじゃないかなぁ？


あと、公二は代表への想いとか、勝つ気持ちとかは当然持つべきものだと思ってる。
あのときの公二の気持ちは誰にも負けてなかったんだから。
それを持ってでも代表に選ばれなかったんだから。
それなのに気持ちだけで決めようとするのは、公二は納得いかないのは当然。
あたりまえの物を比べてどうする？って感じかも。


あと、公二は代表『候補』でもとても誇りにしてたんだ。
候補でも選ばれたのだから、非常に価値があるって。
だから、７チームしかいないリーグの２チーム分も選ばれた今の代表の数では栄誉もなにも無いと思ってるんじゃないか？
最終メンバーを目指す意欲もどうなんだろうね？



公二は気持ちでは誰にも負けてなかったと思う。
それでも候補止まり。
だから、代表へのこだわりは人一倍だと思う。
それだけに猛烈の怒るのは納得できるよ。

でも、これからどうするんだろう？
【清川　望】