2007/04/16 (Mon) 【水島】 ＨＡＮの辞書にシリアスなんて言葉はない

断言しちゃっていいのかしら？
まあ、中の人がああいうシリアスな話は書けない人だから、ひがんでるだけだと思うので無視してください♪

それに大丈夫？あの感動話を台無しにしない？
いいの？それならそれでいいけど……




そういうわけで、初めまして、水島密です。
これから１年間のおつきあいになりますがよろしくお願いします。

ブログを見るのは好きだけど、書くのはちょっと苦手で…

でもがんばりますね♪



さて、昨日は残念な試合でした。
私も出場のチャンスがなくてがっかり。

それでもベンチからの試合も勉強になりました。

そして今はというと……飲み会です（汗













今日は、来月のリーグ戦へ向けての決起集会。

えっ？先が長いって？
まあ、カップ戦の嫌なことは忘れるって目的もあるみたいですね。

駅前にあるイタリア風の居酒屋を予約して、選手達だけで楽しく飲みました。
私たちの希望も聞いてくれて、いろんな種類のお酒が用意されて、飲む前からわくわく。

えっ？……未成年？


そんなこと言ったら、あとで血の海を見るわよ♪


……あら、嫌だ。そんなキャラじゃないのに。

そういうわけで、男子はいない女の子だけの宴会。
ＰＳＭの時にもあったけど、やっぱり同姓だけっていうのは、気持ちが楽になるのよね。
ほら、監督さんも高見さんも早乙女さんも、フレンドリーな方々で、接しやすいけど、やっぱりねぇ……

あ～あ、私も早く彼氏が欲しいなぁ……


だから、ちょっとそこらへんのアドバイスをもらうと思ったら、夕子さんが必死で止めてた。
「あの連中に聞いたら、開口一番『色仕掛け！』って言うから（汗」

う～ん……あの人なら色仕掛けが通用するかもしれないけど……やっぱりねぇ……
「そうそう、あの連中。今ではあんな事しか言わないけど、みぃ～んな、意外と純愛だったのよ……あたしもそうなんだけどね」

あら？そうだったの？詩織さんなんか……
「詩織ちゃんと高見くんの恋愛って、実はかなりディープで暗くて重いのよ。とてもこんな場所では話せないぐらい。でもそれだけ２人の愛情は本物ってことなんだけどね」

そうなんだ……人は見かけによらないものなのですね……
いいなぁ、そういう恋愛ってあこがれるんですよね。




部屋の中で酒の空気が溜まってきたころで、よく見ると竜子と琴子さんがなにか盛り上がってる。


竜子「だからな、今の世の中に義理と人情ってモンがないんだよ！まったく」

琴子さん「それわかるわ。やっぱり軽い男はだめよ！」

竜子「そう！任侠の世界にいるような、かっこいい男でないとねぇ…」

琴子さん「そのとおり！一本筋が通った男でないとダメ！」

竜子「今の日本はどうしてこうなっちまったのかねぇ…」

琴子さん「軽い女どももいけないのよ！イケメンとかなんとか言っちゃって！」


な、なんか、すごい盛り上がり……
でも、竜子。いい加減その趣味やめたら？って思うのよね。
ああいう趣味さえなければ、もてるのに……ねぇ？まったく。

それに琴子さん？
光さんがさっき教えてくれましたよ？
「琴子って、ああ言うこと言ってるけど。今、かるぅ～い男とつきあってるんだよ♪まあ一本筋は通ってるから、見た目とは違うみたいだけど」
なんか、言ってることと事実が違ってません。

「好みのタイプなんて、一度好きになってしまえば、どうでもよくなるのよ」
あっ、これは奈津江さんの言葉。
彼女、この前の試合で活躍してたからね、結構上機嫌みたい。



そうこうしているうちに、いつの間にか茜さんと一緒にお話ししてる。
同じポジションでいわばライバル。
今は私はレギュラーってことになっていて、茜さんは控え。
でも、去年まで茜さんもレギュラーだったわけで、そのまま控えに甘んじているわけがない。

意外と激戦なのよ？センターバックって。

「そうだよね。でもやりがいはあるよね」

でも、普段の彼女はとても前向きで、ひたむきで。
私も油断していたら、すぐに控えにされてしまいそう。
ちょっとした圧力みたいなのが私をがんばらせてる。

「今までのＤＦってあまり競争がなかったんだよね。だから、今の位置でもなんか楽しいんだ。でも、やっぱりレギュラーは狙うからね」

うん、そうやってチームって強くなるかもしれないわね。
だから、私も負けないようにしないと。




このイタリア居酒屋はやっぱりカルチョの国だけあって、備え付けのテレビにはケーブルテレビのサッカーチャンネルがずっと流れている。

なんかサッカーニュースをやってるみたいで、みんな口々にそれについて言ってる。



「ねぇ、イタリアで死人が出たらしいぜ」

「なに言ってるのよ。人は誰だって死ぬわよ」

「そんなことじゃなくて、サッカー場で混乱で死人とか」

「あ～あ。イタリアはただでさえ泥沼なのに、そんな事故が起こったらまずいだろ」

「乱闘でか？」

「うわぁ……血まみれって怖いです……」

「ねぇ、あんた怖がってないじゃない。むしろ興奮してるんじゃない？」

「やだねぇ、こういう男は嫌いだね」

「う～ん、良く聞こえなかったからわからなかったけど、グラウンドで選手が倒れたとか」

「うわぁ～、それって怖い～」

「コンフェデでもあったじゃない。フィオ選手だっけ？あれもかわいそうよねぇ」

「『グラウンドで死ねたら本望』ってっタイプじゃないから、私」

「そうよね。私だったらやっぱり公人の上で腹上……」

「なに不謹慎なこと言ってるのよ！失礼よ！」

「あっ、ワインが切れたわ。すみませ～ん、もう一つ赤をお願いできるかしら？」

「でも、誰が死んだんだ？」

「また、このニュースだ……なんで、こんなに大騒ぎしてるんだ？」

「グラウンドでの死者のニュースはあるけど、そんなに何回もするものじゃないわね？どうしてかしら？おかしいわね」

「ん？死んでないみたいだけど、危篤状態とか聞こえてる」

「リオのカーニバルでは、普通に死人がでるって聞いたけど……」

「関係ない話はしないの！……なんかキャスターも顔が真っ青みたい……」

「え～と、イタリアの女子サッカーですって」

「へぇ～、女子サッカーでもそんな時代になっちゃったのか……」

「うわ！グラウンドの様子がテレビにでとるで！なんか人がもみくちゃや！どっかのバーゲンみたいや！」

「ポテト山盛り！」

「ん？最終節なんだって。それじゃあ、荒れるわよねぇ」

「優勝とか降格とかって、きっつ～いらしいみたいやね。うちはそんな怖い状況はいややわ」

「優勝が掛かった試合らしいぞ」

「えっ？さっき降格が掛かった試合だって言ってたよ！」

「どっちなんれすかね……もぐもぐ……」

「だから、ピザをほおばりながらしゃべらないの！」

「え～と、ミランとラツィオ？確かミランが優勝が掛かってて、ラツィオが降格が掛かってたような……」

「それでどっちが勝ったの？ねぇ、もうちょっと音量大きくして！」

「ラツィオだってさ！へぇ、やっぱりこういうときは弱いチームもすごいねぇ！」

「私たちもこういうパワーが欲しいわね……」

「ということは、ミランは優勝を逃したわけ？なるほどね……乱闘も仕方ないわね」

「巨人のＶ９のときに、阪神が残り２試合でＭ１で連敗して、ファンが大騒ぎってことがあったわね」

「あんたいくつなのよ！」

「で？被害者は誰なんだ？解説の人も汗だらだらだぞ」

「え～と、『モリシ』って叫び声が聞こえたよ」

「へぇ～、私もモリシって呼ばれてる人を知ってるけど、似たようなニックネームの人は世界中にいるんだ」

「まあ日本にもたくさんいるからね……で、その人はどこの国の人？」

「イタリア人じゃないみたいだよ？」

「ふ～ん、さすがにイタリア人でもいないか……」

「あれ？キャスターが『森下』って言ってるよ？」

「ほぉ、あたしも森下って人を知ってるけど、あの人どうしてるかなぁ？」

「元ＳＣＭの凄い人って人でしょ？う～ん、去年いなかったから対戦したかったなぁ。今はどこにいるの？」

「確かイタリアって言ってたわよ」

「イタリアかぁ、世界有数のサッカー大国だもんね。それで、チームどこだっけ？」

「え～と、確かラツィオだと思ったけど……」

「………」

「ふ～ん、ラツィオって、チームはいくつもあるんだ……」

「………」

「ねぇ、森下さんの写真が白黒で画面に写ってるよ」

「………」



「「えええっ～～!!!」」




これだけ長い行数を使って、ようやく事態の重さに気づく私たちってなんなのでしょうね？

そこからは、もうみんな大あわて。

「早くしないと清水さんが後を追っちゃう！」

とか言葉も聞こえてますが（汗



結局、その慌てぶりにしびれを切らした竜子が、

「日本で慌ててもしょうがないだろ！そいつの生きる意志に任せるしかないだろ！」

と一喝してようやく収まりました。



結局、それで宴会は終わりになってしまいました。
うん、かなり事態は深刻そうだけど、無事だといいな。
私たちはただ見守るしかありませんけどね。
【水島　密】