2006/11/15 (Wed) 【麻生】 【代表合宿Ｂ １】合宿所へ

麻生です。

いよいよ合宿です。
昨日は深夜まで記者会見などで忙しかったので、
今はちょっと疲れ気味。

Ａ代表のみんなは電車で福島へ。

そして、私と舞佳と公二くんは静岡なんだけど……

４トントラックに乗ってます……









舞佳が「行くついでにいいバイト見つけた」とか言って、
トラックを静岡まで運ぶバイトを見つけてきた。

合宿所の近くで地元の運転手にトラックを引き渡せば終わり。

「一石二鳥よねぇ」とご満悦。

確かに、巨大な分快適なのはいいのですが……ちょっと落ち着かない。



ちょっとここで、私たちの体制を整理しないといけませんね。

Ａ代表にはレイさん、光ちゃん、望ちゃん、詩織ちゃん。
外からの監視と公二くんへの連絡要員が早乙女さんと朝日奈さん。
場合によっては紐緒さんも来るとのこと。

Ｂ代表には公二くん、私、そして隣で楽しそうに運転している舞佳。
外からの監視と公二くんへの連絡要員は相沢さんと藤沢さん。
（希望者募ったらこの二人が『おもしろそうだから』と受けてくれた）

高見くんはどこにも行きません。
「下手に俺が入ると、詩織は安心して暴走する」からだそうです。
しかし、最悪の状況になったときには福島に行ってもらう準備はお願いしています。



横浜を過ぎたところで早速、公二くんの携帯にメールが、
先乗り舞台の朝日奈さんからだ。

『こっちはもうマスコミがたくさん！
　合宿所に入るところから狙ってるみたい。
　なんか夏の合宿より多いんじゃない？』

程なくして、こちらも先乗りの相沢さんからもメール

『川崎球場よりも人がおらへんで。
　いや、だぁ～れもきてへんよ。
　あっ、この前の哲とかいう人がいた（笑）』



「やっぱりな……」

公二が愚痴っていました。

「ＡＢ戦わせると入っても、明らかにＡを勝たせようとしてる。
　だって、施設とか待遇とか段違いだもの。
　いくら白詩織さんがいたって言っても、マスコミの対応が変だ。
　どう考えても、福島だけに誘導させているとしか思えない。

　平等にチャンスを与えるなら、ここまで差をつけないだろ？
　ハングリー精神をかき立てるということなら、
　それはＡ代表にも言えることだろ？

　もしかしたら、最初からチャンスなんてないかも……」


私と舞佳は黙って頷く。

「Bucchiiさんがどう思ってるかわからないけど、
　俺はＢ代表のみんなを惨めな目に合わせるわけにはいかない。
　黒詩織さんじゃないけど、絶対にギャフンと言わせてやる」

あらあら、凄く気合いが入ってるわね。

「ところで、合宿ではどうするのぉ？」

片手運転で公二くんに尋ねる舞佳、だから危ないって！

「Ｂ代表は問題点が山積みだ。
　そもそも補欠なんだから、あらゆる面で負けてる。
　Ａ代表と扱いが雲泥だからモチベーションが上がりにくい。
　なにより、所詮寄せ集めだ、団結力がまったくない。

　向こうは北見さんの息のかかった人がたくさんいるから、
　団結するのはたやすい事だと思う。
　こっちはそういうわけにはいかない」

「それでどうするの？」

「僕が大事だと考えているのは３つ。
　一つ、代表とか関係なく「勝つ」というモチベーションをあげること。
　二つ、チームとしての団結心を強めること。
　最後、どんな手を使ってでも、マスコミをこっちに寄せ付ける」


最後のどういうこと？


「このままでは、Ａ代表に好意的な世論を作ってしまう。
　世論を味方につければこれほど大きいことはない、
　たとえ、テストマッチでよい成績でなくても、
　『たまたま調子が悪かった。次は大丈夫』
　の一言で世論が許されてしまう可能性がある。

　世論を味方につける利点の一つってそういうこと。
　実際の実力以上の印象を与えてしまうんだ。
　ジーコジャパンもそうだったと思う。

　Ａ代表の選手はそれでいいけど、こっちはたまらない。
　引き分けでも負け同然。
　『調子の差』で片づけられて、実力をみてくれないからね。

　だから、こっちの練習を見てもらって、
　『Ｂ代表もなかなかやるじゃないか』と思わせれば、
　引き分けでもこっちの勝ちだ」


かなり考えたみたいね。


「でも……最初の二つは代表でなくても当たり前だから、
　Bucchiiさんも考えてると思うけど。
　最後のはどう考えてるのか……」


そうねぇ、Bucchiiさんに無断で行動できないからねぇ


「ねぇ、スキャンダルでも売り込めば？すぐにマスコミは来るわよん」

「でも、誰のスキャンダル？」

「う～ん……Bucchiiさんとか……」

「あの人はそんなのはない。
　そもそもスキャンダルがあれば、普通、神谷さんがもみ消すはず。
　だから漏れる事自体怪しいと思われてしまう。
　それに選手の子を使えば、嘘でもその子の将来に傷をつける。
　いいアイデアなんだけど、それを出来る人が……」

「そうねぇ……よわったわねぇ……」

「まあ、Bucchiiさんに相談してみるよ。
　あと、華澄さんと舞佳さんを裏方で使ってもらうように言っておくよ」

「お願いね。何でもやってあげるわよん」
「私も、同じね」


安心した公二くんの表情。
さて、この表情が最後までつづくのやら……
【麻生　華澄】